ノイズキャンセラーを使っていて、不思議な現象を経験しました。僕は送受信アンテナの他にノイズキャンセラー用の特性が揃った2本の受信専用アンテナを使っています。
ノイズがでてくると、受信時にはノイズキャンセラー用の2本のアンテナを使ってノイズキャンセルして、送信時には送受信アンテナを使う形になります。
送受信用のアンテナには同調点を連続可変できるスクリュードライバーを使っています。ノイズキャンセラー用のアンテナには1チップの自作Mini-Whipアンテナを使っています。
ノイズキャンセルは2本のアンテナでノイズを同等レベルで受信して、位相をズラしてキャンセルするわけですが、送受信アンテナの同調点と、キャンセルしたいノイズの周波数が同じだとノイズのキャンセルが不十分になるのです。
以下に状況を整理します。1と2ともにノイズキャンセル用の2本のアンテナで受信中です。
1. 7メガ受信中 送受信アンテナ 7メガ同調 ノイズキャンセラー効き悪い
2. 7メガ受信中 送受信アンテナ10メガ同調 ノイズキャンセラー効き良い
つまり、7メガで送信しようとして、送受信アンテナを7メガに同調させるとノイズキャンセラーの効きが悪くなるんです。
ノイズキャンセラーを使っている方は少数ですし、そもそもスクリュードライバーなどの同調周波数可変型のアンテナを使っていないと、送受信用のアンテナの同調点の変化が、近くの受信用のアンテナに影響を出していることに気づかない方が多いのではないかと思います。
アンテナは5m程度の距離で設置していますので、相互に影響し合うのは当然だと思いますが、2の状態ではノイズが綺麗に消えるのに、実際に運用する1の状態ではノイズが消えないのはとても悔しい。
ノイズをキャンセルできない理由としては、ノイズ受信用のアンテナが送受信用のアンテナの影響を受けて、受信のパターンが変形してしまうことが容易に想像できます。でも、その影響は信号強度と位相を調節できるノイズキャンセラーで吸収できそうです。でもノイズキャンセラーを再調整しても少しノイズが残ります。
メインの送受信用アンテナを離調させると、スッとノイズが消えて、完全にキャンセルできます。同調操作ではこの逆で、綺麗に消えていたノイズが、だんだんと聞こえてきます。
S1程度のノイズが残っても実際のQSOにはあまり影響ありませんが、送受信アンテナを他のバンドに同調させた状態ではS0までノイズキャンセルできるのに、送受信アンテナを同調させて「無線を運用する状態」だとノイズが残る・・・ってのは困ります。
このような状況から、アンテナの相互影響によるパターンや利得の変化が原因ではないように感じていました。ローバンドにアクティブなあるomさんが「アンテナは共振周波数で強いノイズを受信すると、レピーターみたいに受信したノイズを再送信するみたいだ」と述べていらっしゃいました。
もし、その通りだとすると、僕のところではS9++の強力なノイズを送受信アンテナが受信して、同時に微量なノイズを周囲に再送信していると仮定できます。すると、ノイズキャンセラーとしては、全く同じノイズの送信源が1箇所追加され、2箇所になります。ノイズキャンセラーは同時に2方向のノイズをキャンセルできませんので、再送信されたノイズがキャンセルできずに残ってしまう・・・・これだと理屈が合います。
そこで、送受信アンテナと受信専用のアンテナの2本を組み合わせてノイズキャンセルするようにしました。見事に「ノイズが残る」問題は解決して綺麗にキャンセルできるようになりました。
なお、受信用の2本はそのままで、切り替えてノイズキャンセルに利用しています。送受信アンテナと受信専用A or 受信専用B という組み合わせです。3本のアンテナは送受信アンテナを頂点とした直角2等辺三角形に近い配置ですので、お目当ての局が強くなるように受信しつつ、ノイズをキャンセルできます。いい感じです。